獺祭のスタンダードラインと言えば、これまで獺祭50でした。
それが今は獺祭45になっています。
2019年3月に、50から45へ変更になったのです。
数字だけ見ると5減ってるので、味が変わってしまったんじゃないか心配になりませんでしたか?
気になったので調べてみたところ、私たち消費者にとって、5減るって実はすごく嬉しいことなのがわかりました。
作っている方は大変なんでしょうけど…
獺祭50が45になったことでどう変化したのか、その違いや特徴をまとめました。
また実際に飲んでみた方の評判や口コミも集めて比較しています。
残念なことに、もう獺祭50を手に入れることはできないでしょう。
だけど、この記事を読めば安心して、いやむしろ喜んで獺祭45を飲みたくなるに違いありません!
獺祭45と50|数字の意味は精米歩合
45や50という数字は、原料のお米をどれだけ削った残りかという意味。
玄米の状態を100として、残っている粒の割合を表しています。
ちなみに、コシヒカリなどの食用のお米の場合だと、精米歩合92%が一般的です。
8%表面を削って精米しているということですね。
お酒の場合は、食用のお米よりも大きく削る必要があります。
その理由は、お米の表面には雑味の原因になるタンパク質や脂質が多く含まれているから。
お酒に適したお米の中心部分には心白という、白濁して見える部分があります。
心白はほとんどがデンプンで、タンパク質や脂質はあまり含まれていません。
タンパク質や脂質が多く残っていると、雑味が出てしまったり、香りを抑えてしまったりします。
それを避けるために、米が割れないよう細心の注意を払いながら、心白を残して表面を磨きます。
精米度合いは、日本酒の種類によって細かく決められています。
特定名称 | 精米歩合 |
純米大吟醸酒 | 50%以下 |
大吟醸酒 | 50%以下 |
純米吟醸酒 | 60%以下 |
吟醸酒 | 60%以下 |
特別純米酒 | 60%以下 |
特別本醸造酒 | 60%以下 |
純米酒 | ― |
本醸造酒 | 70%以下 |
上に行くほど超高級酒の位置づけで、値段も高くなります。
値段は銘柄によって違いがありますけどね。
これ以外に、普通酒という分類もあり、普通酒と純米酒については精米歩合は決められていません。
ところで、半分以上も削り落としてもったいない気もしますよね。
しかし、削り落とした部分もしっかり利用されているので大丈夫。
糠は原料のお米を作っている田んぼの肥料に、米粉はお菓子や化粧品に使われています。
獺祭煎餅は人気商品の一つ。
香ばしくて、お酒のあてにもぴったりです。
獺祭を飲みながら獺祭煎餅を食べるのもオツですね。
獺祭45と50の違い
上の表で見てわかるとおり、50%以下になるまで表面を削り落としたものだけが、純米大吟醸を名乗ることができます。
獺祭50も45も、どちらも純米大吟醸。
両者の違いはどこにあるのでしょうか。
5%削ればよりスッキリと華やかな香りのお酒ができる
先ほど説明したように、お米の表面にはタンパク質や脂質が含まれていて、雑味が出たり、香りを抑えてしまったりします。
そのため、吟醸酒では60%以下、大吟醸酒では50%以下になるまで表面を削っています。
お酒の場合は表面を削ることを磨くと表現しますね。
50%以下になるなら、さすがにもう表面は残ってないだろうから、45にしても同じなんじゃないの?って疑問に思いますよね。
そこに関わってくるのがお米の整粒歩合です。
整粒歩合とは、割れたり、欠けたり、虫に食べられたり、病気になったりしたお米以外のきれいな粒がどれだけあるかという割合のこと。
以下のように決められています。
メモ
- 特上…整粒歩合90%以上
- 特等…整粒歩合80%以上
- 1等…整粒歩合70%以上
- 2等…整粒歩合60%以上
- 3等…整粒歩合45%以上
特定名称酒は、整粒歩合が3等以上のお米を使うことと定められています。
特上ランクのお米でも、10%弱は、形が不揃いのお米が含まれています。
キレイな粒90%の中に、ちょっと小さい粒が入っていることもあるわけです。
それを同じように磨いていくとどうなるでしょうか。
回りのきれいな粒は50%に削られても、もともと小さかった粒は、表面が残ってしまっている可能性がありますよね。
なので5%でもより多く磨いたほうが、雑味が少ないすっきりとしたお酒になるんです。
わずか5%でも手間と原価は大きな差
50%から45%へさらに磨くのは、そう簡単なことではありません。
獺祭を作っている旭酒造は、本社から車で数分のところに大規模な精米工場を持っています。
工場の中には、大型の精米機が52台もあり、24時間フル稼働。
1台当たり2400㎏ものお米を精米することができ、これは食用でも酒用でも、日本最大級の精米工場なんだそうです。
(2020年7月現在)
50%まで磨くのに20~35時間ほどかかります。
40%になると70時間、23%ではなんと144時間。
摩擦による熱を抑えるためにゆっくり丁寧に磨いていくからです。
しかもお米が5%分小さくなるので、仕入れる玄米の量は増えてしまいます。
少し前のメールマガジンに載っていたのですが、50%を45%にすると人件費も1.5倍かかってしまうんだそう。
参考:メールマガジン蔵元日記
わずか5%磨くだけでも、かなり手間と時間が増えることが想像できます。
値段は150円アップ
手間や原価が増えると気になるのは商品の値段ですね。
獺祭50の1.8リットルは、定価では3078円(消費税8%)で販売されていました。
人気が出たのでプレミア価格になっている場合が多く、1本7000円以上することもありました。
残念ながら、今はどこも品切れとなっていて、手に入れるのは難しいです。
生酒なら1週間以内、火入れでも1,2か月が美味しく飲める期間ですので、残っているほうがもったいないですね。
新しくなった獺祭45のお値段は、1.8リットルで、3300円(消費税10%)。
税抜き価格で比べてみます。
メモ
- 獺祭50…2850円
- 獺祭45…3000円
実質150円アップしています。
この値段の差や、味の違いをどう感じているのか、口コミを調べてみました。
獺祭45と獺祭50の口コミを比較
獺祭50から45に変わったのが2019年3月ごろですので、その頃の評判はどうだったのか、さかのぼって調べてみました。
獺祭50の口コミ
フルーティーな味わい、すっきりとしながらもしっかりとした旨味がたまりません(゚∀゚) 何度も購入させていただいてます。 料理のジャンルを問わず美味しくいただけるお酒ですが、少々濃いめの味付けの洋食でも負けないお酒だと思います。
引用:楽天レビュー
期待道理の日本酒で満足しております。
フルーティーで大変飲みやすくどんな料理にも会う絶品の大吟醸です。
ただ、美味しい過ぎて飲みすぎには注意です。
また、リピさせて頂きます。
引用:楽天レビュー
獺祭50に関しては、フルーティーで飲みやすいという口コミが多かったです。
純米大吟醸の特徴は、メロン香や梨香があること。
その香りがしっかり出ていたんですね。
新しくなった獺祭45の口コミ
美味しいです。
精米歩合が50%から45%に変わりましたが、相変わらず美味しいお酒です。引用:楽天レビュー
獺祭50を飲み始めて十数年経ちますが、45でさらに美味しくなった気がします。
引用:楽天レビュー
安定の旨さです
50から45へ 1割精米率を上げるのって凄いことだと思います。ただし 50と39を比較したときほどの違いは私にはわかりません ですが しっかり安定の旨さです。晩酌2合で切り上げるのが難しいとってもおいしいお酒です。引用:楽天レビュー
50から45へ変わったことに言及している口コミを集めました。
違いはあまりわからないという方もいますが、より美味しくなった、甘さが増したという口コミが結構ありました。
一方で値段が上がったことを取り上げている方はいませんでした。
プレミア価格で高騰していたころと比べると、定価で購入できるところが増えているからかもしれませんね。
獺祭45おすすめの飲み方
日本酒の飲み方は温度によって素敵な名前が付いています。
ポイント
- 雪冷え(ゆきびえ)…5℃
- 花冷え(はなびえ)…10℃
- 涼冷え(すずびえ)…15℃
- 常温(じょうおん)…20℃
- 日向燗(ひなたかん)…30℃
- 人肌燗(ひとはだかん)…35℃
- ぬる燗(ぬるかん)…40℃
- 上燗(じょうかん)…45℃
- 熱燗(あつかん)…50℃
- 飛切燗(とびきりかん)…55℃
この中で獺祭45におすすめの飲み方は、雪冷え。
良く冷やした獺祭45は、口に含んだ瞬間はキリっとしたドライな味わいを感じます。
その後、体温で温度が少し上がると、華やかでフルーティーな香りが抜けていく感覚を楽しめます。
純米大吟醸は、一般的には常温から冷で楽しむことの多いお酒ですよね。
獺祭も冷で飲まれる方が多いと思います。
でも実は、温めて飲むのも美味しいんです。
獺祭の公式チャンネルで、旭酒造のフランス人社員ケビンさんが、温度を変えて獺祭を飲み比べていました。
ケビンさんも、熱燗が気に入ったようですね。
甘さが際立って、お酒の香りが強く立ちます。
キリっとした辛口が好みの方には合わないかもしれませんが、ご自分のお好みの温度を探してみるのも楽しいかもしれませんね。
基本的な飲み方については、こちらでまとめていますので、ご参考ください。
また、温めて飲む専用の獺祭も販売されています。
ひやや冷酒より、熱燗の方が好きなんだよなぁ~という方は、あわせてチェックしてみてください。
まとめ
2019年3月に獺祭50が45へと変更になりましたので、50から45へどう変わったのか詳しく調べてみました。
50%まで磨くと純米大吟醸と言えますが、そこからさらに5%磨いているのが獺祭45。
よりスッキリとしたうまさと、華やかな香りを楽しめるお酒へと進化していたんですね。
お値段が150円アップしているけれど、プレミア価格だったころと比べたら、ずいぶんお安く手に入るようになりました。
獺祭の生産量は年々増やしているそうなので、需要と供給が追い付いてきたんでしょうね。
定価でいつでも買えるのはとても嬉しいことです。
また、獺祭を美味しく飲める温度についても紹介しました。
おすすめの飲み方は5℃前後の雪冷えですが、温めても美味しいので、自分の好みの温度を探してみてはどうでしょうか。