獺祭等外とは、原料のお米に3等級以下のものを使って作られた獺祭のことです。
読み方は「とうがい」。
獺祭等外は、かなり格安で購入できるのが、獺祭好きには嬉しいところです。
製法はもちろん通常の獺祭と同じ。
原料のお米を、大吟醸並みに磨き上げて作っています。
獺祭等外23は、米を23%まで磨いてできたお酒。
それと同じ精米歩合なのが、純米大吟醸磨き二割三分です。
獺祭の中でも上位ランクのお酒ですよね。
同じ精米歩合なのに、獺祭等外23は大吟醸とは名乗れず、普通酒の扱い。
それは原料に等外のお米を使っているからです。
どうして等外のお米を使うのか気になって、詳しく調べてみることにしました。
また、等外米で作られたお酒が本当に美味しいのか、その評判も気になりますね。
獺祭等外の評判と飲み方の注意についても詳しくまとめてますよ。
獺祭等外とは等外のお米で作られた獺祭のこと
日本酒の原料になる酒米は、その品質ごとにランク分けされています。
メモ
- 特上…整粒歩合90%以上
- 特等…整粒歩合80%以上
- 1等…整粒歩合70%以上
- 2等…整粒歩合60%以上
- 3等…整粒歩合45%以上
整粒歩合とは、割れていたり、欠けていたり、変色や虫食いがある米を除いた、キレイな粒の割合のことです。
国が定めた基準で、3等以下のお米は廃棄されていました。
獺祭等外は廃棄される予定だった等外のお米を使って作られています。
なのでお値段はとてもリーズナブル。
楽天で獺祭等外と、同じくらいの精米歩合の「獺祭純米大吟醸 磨き三割九分」を比較してみましょう。
精米歩合については後で説明します。
獺祭等外720mlが1430円なのに対し、獺祭純米大吟醸磨き三割九分は2541円。
純米大吟醸磨き三割九分よりも、お値段は獺祭等外の方が1000円以上安くなってます。
等外米を使っているので、大吟醸とは名乗れません。
それがこの値段の差に表れているんでしょうか。
獺祭等外は大吟醸並みの精米歩合なのに普通酒
日本酒は大きく分けて、特定名称酒と普通酒に分かれます。
特定名称酒はさらに8種類に分かれています。
分類表が国税庁のホームページに載っていました。
特定名称 使用原料 精米歩合 米の等級 香味等の要件 特定名称酒 超高級酒 純米大吟醸酒 米、米こうじ 50%以下 特等及び
1~3等米
のみ吟醸造り、固有の香味、
色沢が特に良好大吟醸酒 米、米こうじ、
醸造用アルコール純米吟醸酒 米、米こうじ 60%以下 吟醸造り、固有の香味、
色沢が良好吟醸酒 米、米こうじ、
醸造用アルコール高級酒 特別純米酒 米、米こうじ 60%以下又は
特別な製造方法
(要説明表記)香味、色沢が特に良好 特別本醸造酒 米、米こうじ、
醸造用アルコール純米酒 米、米こうじ ― 香味、色沢が良好 本醸造酒 米、米こうじ、
醸造用アルコール70%以下 普通酒 普通酒 パック酒、上撰
精米歩合とは、玄米から表面を削った割合のことです。
コシヒカリなど食用のお米の場合なら、精米歩合92%程度。
玄米から8%分だけ表面を削り取ったということです。
酒用のお米では通常70%以上削り、大吟醸になると50%以上も削っています。
お酒の場合は磨くと言いますね。
酒用のお米の表面を削って磨くのは、お米の表面にあるたんぱく質を取り除くためです。
食用ならばタンパク質や脂質がうま味になりますが、酒になると雑味になります。
また余分なタンパク質が酒の独特の香りを妨げてしまいます。
等外のお米は、欠けたり割れたりしていて、形が不揃い。
均一に磨くのはとても難しく、美味しいお酒にするためかなり研究されたそうです。
思い切って35%まで磨いたところ、満足のいくお酒ができました。
精米歩合が50%以下になると大吟醸と呼ばれるお酒なのに、等外のお米を原料にしているので普通酒ランク。
格安で美味しいお酒を飲めるのは、消費者にとっては嬉しいことです。
だけど、より手間がかかるのに、どうして等外のお米を使うんでしょうか。
等外のお米を使う理由|農家を守り原料を安定して仕入れるため
獺祭は山田錦というお米だけを使って作っています。
山田錦は兵庫県を中心に福岡や新潟でも作られている酒用のお米。
山田錦を使った大吟醸は品評会などでも評価が高く、YK35という公式のような俗説もあるほどです。
メモ
YK35とは、「Y(山田錦)を使い、K(きょうかい9号という酵母)を使い、35%まで磨くと金賞がとれる」という意味です。
お酒造りにとても適したお米なのですが、欠点は栽培がとても難しいこと。
天候次第で成長が遅れたり、虫や病気の心配もあります。
等外のお米ができれば、国の基準で破棄しなければいけないリスクが高いのです。
そのため山田錦を作ってくれる農家さんが少ないのが問題でした。
しかも、ここ数年、獺祭の人気が急上昇しています。
それにともない、なかなか手に入りにくいお酒になってしまっていました。
獺祭のコンセプトは、「幻の酒ではなく誰でも気軽に買える酒」。
獺祭を飲みたい人がいつでも飲めるよう供給を増やしたいけれど、材料が手に入りません。
そこで、旭酒造は、安定して材料を仕入れるため、農家さんのリスクを減らす契約をしました。
それは等外のお米を含めて、すべてのお米を買い取るというもの。
無事、山田錦を作ってくれる契約農家さんは増えました。
そして、試行錯誤のうえ、獺祭等外というお酒が誕生したんですね。
「作ってもらった山田錦はキチンと美味しい酒に仕上げる」
引用:メールマガジン蔵元日記
この1文からも蔵元の心意気を感じます。
さらに磨きをかけた獺祭等外23
獺祭のフラッグシップと言えば、純米大吟醸磨き二割三分です。
限界ギリギリの23%まで磨いたお米を使っています。
一口含めば鼻を抜けていくフルーティで華やかな香り、さわやかな甘さとコク、雑味はまったくなく、とても飲みやすく美味しいお酒です。
お値段が結構しますから、気軽に飲めるものではないのですが…
なんと等外のお米で作った獺祭等外23というお酒があるんです。
純米大吟醸磨き二割三分と同じように、山田錦等外のお米を23%まで磨いています。
こちらは純米大吟醸磨き二割三分。
純米大吟醸並みのお酒が約半額。
これはかなりお得ですよね。
獺祭等外の評判は良いものばかり
獺祭等外についての口コミや評判を調べてみました。
楽天のレビューをチェックしてみたところ、13件中10件は星5つ。
残り3件は星4つ。
楽天では悪い評判が一つもありませんでした。
味は申し分なし!
等外とありますが精米割合は、格上の三割九部と同等レベルで十分に大吟醸を堪能出来ます。引用:楽天レビュー
ふくよかな香り
まず香りが良い。猪口に口を近づけるたびに洋梨のような甘い香りがふわっと香るのがとても良い。
甘いけど甘ったるくない美味しさで飲みやすく、食べ物のお供ではなく、この酒単体で楽しめる味。引用:楽天レビュー
ビッグカメラで購入された方のレビューを見てみます。
17件あるうち、14件は星5つ、2件は星4つ、1件星3つの評価が付いていました。
等外ですね
2019年4月23日通常の商品の2割3分とは違い、やはりまるさというか、洗練された感はないですね。
普段の飲むにはいいです。
星3つを付けていた方のレビューです。
分かるかたには、微妙な違いが分かるんでしょうか。
とても美味しかった
2020年5月19日「等外」と記されているため、贈答する際にはケチがつくかもしれませんが、気心ある身内間で呑む分には、全く申し分ないレベルのお酒です。
味はフルーティーで、お食事の素材素材が持っている味を引き立ててくれます。
この方のレビューにあるように、獺祭等外は贈答用には向かないかもしれませんね。
というのも、獺祭等外は賞味期限が早いから。
獺祭等外の飲み方で注意すべき点を紹介します。
獺祭等外の飲み方で注意すべきこと
日本酒や、焼酎、ウィスキーなどのアルコール類には、消費期限が記載されていません。
アルコールで腐敗しないからということなのですが、美味しく飲める期間はあります。
日本酒の場合、火入れ(加熱殺菌処理)をしたものは1年ほど、火入れをしていないものでは9か月ほどが、美味しく飲める目安と言われています。
けれども獺祭等外の場合、瓶詰後からの劣化が早いということが観察されているようです。
三か月後に飲んだ時にあま りの品質劣化の速さに愕然としました。
理由は、等外米の性質にあると考えられます。粒の小さなコメも混じっております。ごく少数の 磨ききれないコメが残っているのではと考えられます。
引用:メールマガジン蔵元日記
大きさが不揃いの等外米では、全体を35%に磨いても、もともと小さい粒は磨ききれなかった可能性があります。
それが悪さをして劣化を早めているのかもしれません。
獺祭等外は三か月以内に飲みましょうとメーカーから推奨されています。
特に獺祭等外23は火入れをしていない生酒。
冷蔵発送されてきますから、冷蔵庫保管で、美味しいうちに飲み切ることをおすすめします。
まとめ
山口県の銘酒獺祭の中で、等外のお米で作った獺祭等外について紹介しました。
国の基準で捨てられるはずだった等外のお米を、大吟醸並みに磨き上げて作っています。
獺祭等外を作ったことで、山田錦を作る農家さんを守り、品薄になりそうだった獺祭を増産することができました。
消費者としては、美味しいお酒を格安でいただけるんですから、ありがたいことです。
獺祭等外は、等外米があった時に作られます。
なので、いつでも飲めるお酒ではありません。
一部の店舗で予約販売をしていますので、もし見かけたら早めに購入したほうが良いですよ。