2019年の2月に、国内と海外の売上が初めて逆転したという獺祭。
現在では、欧米を中心に25カ国以上に輸出されています。
高級レストランなどですでに名前が浸透してきており、高級ワインと同等の味だという評価さえあるのです。
そんな獺祭を実際に飲んだ海外の人は、どんな反応をしているのでしょうか。
パリ(フランス)、ニューヨーク(アメリカ)、台湾での反応をまとめました。
獺祭のパリでの反応
獺祭を製造する旭酒造は、2007年頃から本格的に海外市場へ進出するようになりました。
2010年代には、フランスでの日本酒の売上のうち、1割ほどを獺祭が占めるようになります。
そんな中、獺祭をいち早く評価し、レストランに置くようになったのがフレンチの神様といわれるジョエル・ロブション氏。
「獺祭に恋した」というほど入れ込み、旭酒造に共同でレストランを出店する話をもちかけます。
こうして2018年、パリに「ダッサイ・ジョエル・ロブション」というレストランがオープンしました。
オープンした頃に開かれたイベントでは、現地の人からこのような感想がありました。
日本酒が面白いのは、料理と合わせて楽しむとき。お酒だけで飲むより、料理の味も引き立ててくれて奥深いです。どれも美味しかったのですが『獺祭 純米大吟醸45』が一番辛口で好みでした。お米の磨き具合でこれだけ味が変わるのも日本酒の魅力ですよね
引用:SAKETIMES
このお店は、1階が獺祭や酒粕を利用したスイーツを販売するスペースとなっています。
大々的な宣伝はしていないため、お店に入ってくるのはほとんどが通りすがりの地元の人です。
そこで、日本酒を知らない人がなんの先入観もなく獺祭を飲んで、ハマっていく。
そこから徐々に「獺祭がおいしい」という口コミが広まっていくという現象が起こっているのです。
旭酒造の桜井会長は、まさにそれを狙っていたというのですから、すごいですよね。
獺祭のニューヨークでの反応
アメリカでは、10年ほど前に「SAKEブーム」が起こりました。
日本酒がおいしい、というよりは、マニアがファッション的にたしなむものでした。
また、当時酒屋やレストランに置かれていたのは、新潟など酒処で作られた銘柄ばかり。
そのころ旭酒造もニューヨークで市場を開拓すべく、桜井社長が自ら飛び込み営業をしていましたが、なかなかいい反応をもらえなかったと言います。
旭酒造のある山口県は酒処でもないし、酒瓶がおしゃれというわけでもないからです。
ところが、お酒に精通している人から徐々に獺祭のおいしさが広まり、お店やレストランに置いてくれるところが増えていきました。
現地の人が旭酒造のスタッフに話したという、こんな感想が印象的です。
「獺祭っておいしいですね、でも、日本酒だとは知らなかった」
獺祭が日本酒の銘柄だとは知らずに、単に味がおいしいからという理由で飲んでいる人もいるんですね。
そんな感想がある一方、今は少しずつ一般の人にも「SAKE」の魅力が広まってきている段階です。
2020年には、旭酒造はニューヨークで新しく酒蔵をオープンさせる予定なので、さらに認知度が高まるのではないでしょうか。
ニューヨークの酒蔵では、獺祭とは別の銘柄である「Dassai Blue」を製造していくことが発表されています。
「Blue」は、「青は藍より出でて藍より青し」からの発想。
【米国ブランドは日本のオリジナルの獺祭を超えて、優れた清酒に育ってほしい】という思いを込めています。引用:旭酒造HP
どんなものになるか、楽しみですね。
獺祭の台湾での反応
台湾では、パリやニューヨークとは少し事情が違ってきます。
もともと親日家が多く、日本食好きな人も多いため、日本酒はかなり浸透しています。
台湾はもともと度数の高いお酒がよく飲まれるので、日本酒は「飲みやすい」と感じている人が多いんですよ。
特に獺祭は、日本酒に詳しくない人でも知っている人気の銘柄。
気温が高いことが関係しているのか、おちょこに氷を入れて、というのがオツな飲み方です。
また、台湾では酒類の関税が40%と高いため、日本酒は高級品の部類に入ります。
そのため、獺祭は旧正月のギフトに選ばれることが多いですよ。
獺祭は、台湾ではすっかり地元の人になじんでいるようですね。
まとめ
獺祭は、この10年ほどで急激に海外への売上を伸ばしてきました。
しかし、旭酒造は「『分かる人には分かる酒』の域を出ていない」という認識です。
まだまだ伸びしろのある獺祭。
今後、世界でどんな風に発展していくのか、楽しみですね。