高級な日本酒として知名度の高い銘柄、獺祭。
数ある銘柄の中でも、一番いいやつと言えば「獺祭 磨きその先へ」です。
高いお値段も納得の背景がある、値段に見合った(!?)銘柄となっているので、詳しく解説していきます。
獺祭 磨きその先へ とは
山口県岩国市にある旭酒造株式会社。
杜氏を廃止し、独自の科学的な酒造りによる革新的な銘柄「獺祭」で一躍有名になった企業です。
旭酒造が極限までこだわりぬき、日本酒のひとつの理想型として完成させたのが「獺祭 磨き二割三分」。
その完成形をさらに超えるべく開発されたのが「獺祭 磨きその先へ」です。
2012年より販売されている銘柄になります。
「理想のさらにその先を目指す」という酒造の意気込みがそのまま名前に込められていますね。
驚きの価格!?定価がやばい!
磨きその先への価格は、720mlで33,000円(税込み)です。
品薄での転売価格などではなく、れっきとした定価です。
二割三分の720mlは5,390円なので、およそ6倍もの価格になりますね。
いくら最高級品と言っても、高すぎる…?
なかなか日本酒では見ない価格帯ですよね。
高級ワインやシャンパン、ウィスキーなど洋酒のような値段です。
しかし、というのも当然な話で、そういった価格帯に合わせて作られた、極上な高級酒だからなのです。
世界に誇る日本型高級酒「SAKE」を目指して作られた
世界中には、数多くのお酒が存在しています。
中でもワインには「ボルドー五大シャトー」と呼ばれる超高価格帯のものも存在します。
「ボルドー五大シャトー」とは、1855年のパリ万国博覧会において、フランスのボルドー・メドック地区の格付けで“第一級”の称号を与えられた4つのシャトー(醸造所)と、1973年に昇格になったシャトー・ムートン・ロスシルド、これら5つの世界トップクラス・シャトーのことを指します。
外務省や農林水産省は、そんな高級ワインと互角に戦える日本酒を模索しています。
日本酒ブランド「SAKE」として、日本酒を輸出すべく奮闘しているわけですね。
そういった背景の中、「磨きその先へ」は、国賓や世界の富裕層に出せるプレミア日本酒として、10年以上の構想期間と開発期間を要して作られました。
オバマ前大統領にプレゼントし世界でも有名に
当時、話題になったので覚えている方も多いのではないでしょうか。
2014年にオバマ前大統領来日時に、安倍首相が「獺祭 磨きその先へ」と「江戸切子のぐい飲み」をプレゼントしました。
そして、それがきっかけで「獺祭 磨きその先へ」は2015年4月28日には、オバマ大統領主催の米国公式晩餐会の乾杯酒となったのです。
また、オバマ前大統領より以前、プーチン露大統領へも萩焼きとセットで誕生日祝いとして贈っています。
2013年10月7日のバリ島での会談でした。
マーケティングの道具にはしない!こだわりの品質とスタイル
「マーケットを弄ったり煽ったりしない」「あくまでお客様の選択に任せる」ことをモットーとする。
引用:旭酒造公式
旭酒造の公式HPには、こんな男気溢れる記載があります。
類似品が多発したり、いたずらに価格が吊り上げられたりされないように、磨きその先へは精米歩合や製法の全てを「非公表」としているんです。
完成形とされる「獺祭 磨き二割三分」の精米歩合が23%です。
仮に、これ以上の8割すれすれに米を削って作っているお酒なら、それだけでも贅沢な日本酒ということは間違いありませんね。
高い値段にも納得です。
他の「獺祭」は精米歩合等をオープンにしているのに「その先へ」だけは非公表という神秘性。
謎のベールに包まれた「磨きその先へ」を益々飲んでみたくなりますね。
磨きその先への口コミまとめ
謎が多い「磨きその先へ」。
旭酒造によると、二割三分の延長線上にあるものではなく、また別の理想形として作られているとのことです。
このお酒は「獺祭磨き二割三分」を超えるものとして造られました。品質の方向としては磨き二割三分のより完成されたものとしてではなく、踏まえた上で別のものとして造られています。
引用:旭酒造公式
実際に「磨きその先へ」を飲んだ方の感想を、良い口コミと悪い口コミに分けてまとめました。
評価が高い口コミも低い口コミでも「日本酒っぽくない」という意見が多かったです。
評価の高い口コミ
さすが最上級の日本酒だけあって、イヤな臭いやアルコール臭さを感じさせる声は全くありません。
そもそも二割三分や三割九分でも、こういった声は多数ありますから、さらに上を行く磨きその先へでは当然のことかもしれませんね。
良い口コミ
- 全くクセがなくて飲みやすい
- 日本酒が嫌いな人でも絶対に飲める
- まるで水のような口当たりと清涼感
50から23までの良いところを全部取りしたような。
水のようにのみやすく、香りが主張しすぎない。引用:Amazon
獺祭(だっさい)は山口県ではとても有名な高級日本酒です。香りがとても良く、一口飲むと、まろやかな深い甘みがあり、最後は日本酒の辛さが後口に多少残ります。とてもフルーティーなすっきりとした飲み心地の日本酒で、お魚にもお肉にもよく合います。日本酒が苦手な方や女性でも、フルーツのような芳醇な香りと飲み口で、とてもフルーティーですので飲みやすいと思います。男性には少し甘すぎるかもしれません。ワインにも負けない高級日本酒です。是非お勧めの日本酒です。
引用:価格ドットコム
評価の低い口コミ
評価の低い口コミもなくはないのですが…
かなり少ないです。
探すのが大変なくらいですね。
楽天のレビュー数を見るとよくわかるでしょう。
引用:楽天レビュー
悪い口コミ
- 味わいは磨き二割三分でも充分
- あっさりしすぎている
- さすがに高い
しかし、これが3万か…と思うとちょっとコストパフォーマンス的には劣る感じも否めません。個人的には敢えて最高品の磨きその先へを飲まず、二割三分のほうで充分なんじゃないかなと思います(旭酒造の公式サイトにも、2つを比較してほしい旨が書いてあります)。
引用:一番高い獺祭「磨きその先へ」を飲んだ感想。確かにかなり美味い日本酒ですが、個人的には磨き二割三分で味わいは充分かもです。
やはり、どうしても声があがるのは…
値段が高過ぎるという点。
「高いものを買った=これは良いものだ」という心理的なバイアスがかかってしまう方は多いことでしょう。
味覚に自信がある方こそ、そのコスパを疑ってしまうのかもしれませんね。
おすすめの飲み方や食べ合わせは?
おすすめの飲み方は「磨き二割三分」と「磨きその先へ」の飲み比べです。
品質的に一歩踏み出しているが故にただ飲まれたのではせっかくの「磨きその先への魅力が分かりにくいと思います。まず、1~2杯「磨き二割三分」をお楽しみいただいた後、「磨きその先へ」へお移りになると、よりくっきり皆様の前にこのお酒の魅力が現れると思います。
引用:旭酒造公式
なんて贅沢な飲み方なんでしょう!
しかし、その先へと二割三分のセットの定価は38,500円。
※2020年5月時点の価格。
単品で33,000円を買うくらいなら…
思い切ってセットを買ってしまいたくなる絶妙なお値段ですよね。
おすすめの温度やおつまみは?
高級ワインのように楽しむのがおすすめです。
12℃程度の、冷やし過ぎない温度でゆっくり飲み、温度による香りと旨味の変化を堪能しましょう。
おつまみは、鴨や白子、トリュフなど香りや味に深みのあるものが合うとされていますが…
なかなか自前で用意するのは大変ですね(笑)
その先へには抑え目な美しい香りがあり、味に厚みと奥行があるため、同じように香りがあり味わいに奥行がある鴨や白子、トリュフなどがおすすめです。
引用:旭酒造公式
個人的には、それだけの高級酒ですから、お酒本来の味だけで、ゆったりと飲みたいところです。
磨きその先へは島耕作や有名パティスリーとコラボレーションも
「磨きその先へ」は、ついに相談役にまでなった漫画「島耕作」や、有名パティスリーともコラボレーションしています。
獺祭人気へ拍車をかける起爆剤のひとつひとつですね!
島耕作とコラボでガチャ!?
大規模災害となった2018年7月の西日本豪雨時に、旭酒造も停電や浸水の被害を受けました。
杜氏管理を廃止し、徹底的な温度管理をしている旭酒造にとって、停電は大きな痛手でした。
停電してしまうと、思い通りの獺祭ができません。
品質の劣る獺祭をそのまま出荷するわけにもいかず、本来であれば廃棄処分にするほかありませんでした。
しかも、廃棄にすれば保険も下りたのです。
社内では販売に消極的な意見もあった。しかし、桜井社長によると、父の博志会長らの頭の中には、被災後1週間が経って復旧の道筋を考え始めた当初から、「廃棄して保険でまかなう」という選択肢はなかったのだという。
「美味しい酒をお出しすることが仕事。そのプライドは捨てられない」(桜井社長)。
しかし、被害を嘆いているだけではどうにもなりません。
旭酒造はすぐさま、そのままでは世に出せなくなった獺祭を、復興支援というポジティブな形で役立てたいと考えたのです。
その想いは、同じ山口県出身の漫画家弘兼憲史氏に届きました。
なんと被害翌月には、売上金の一部が義援金になる「獺祭 島耕作」が誕生したのです。
品質が劣るということで、かなりの廉価販売です。
獺祭が720mlで1,200円ですからね。
※うち200円が義援金として配分されました。
しかし、廉価販売とはいえ…
「その先へ」から獺祭等外まで、すべての銘柄が含まれて同一価格での販売だったのです。
※等外とは、山田錦の規格外品を使用して作られた廉価版獺祭のこと。
緊急事態につき、被害にあったタンクごとに仕分けるなどということができなかったからです。
思い切りよく、すべてを同一価格にしてしまったのは、いくら緊急時とはいえ、思い切りがすごいですよね。
そう、いわゆる何が詰まっているのか分からないガチャ状態です。
これが話題を呼び、多くのメディアに取り上げられました。
- 獺祭島耕作には「磨きその先へ」が混ざっているらしい!
- 獺祭ガチャ!
当時、Twitter等のSNSでもお祭り騒ぎになって、あっという間に用意された58万本は売り切れたのです。
結果、旭酒造は総額1億600万円もの多額な寄付をするに至りました。
かっこよすぎて痺れますね(笑)
私自身、島耕作ボトルを3本購入しましたが…
ごめんなさい、ぶっちゃけ、どの銘柄か当てることはできませんでした(笑)
たぶん、全部普通の獺祭50だったはずです…
一番製造数多いし…(笑)
味も、通常の獺祭と比べて、目に見えて劣るなどということは全くありませんでした。
普通に美味しく飲むことができた上に、社会貢献ができたとあって、非常に楽しいお酒でしたね!
「堂島ロール」で有名なモンシェールともコラボ
関西3大ロールケーキの1つ「堂島ロール」で名をはせた「パティスリーモンシェール」。
獺祭はこちらともコラボを果たしています。
その名も「獺祭ボンボンショコラ」というチョコレート商品です。
毎年バレンタイン限定商品として、各種ショップで販売されています。
2017年に登場した際は、二割三分を使用していましたが、2018年、2019年には磨きその先へが使用されました。
逆に2020年では二割三分へ戻りました(笑)
やはり、少し高級過ぎたのでしょうか?
磨きその先へを使用した2019年のものの定価は、3個入り1,728円。
メタリックグレーのタワー型の箱に入った高級感溢れるチョコレートとして販売、すぐに売り切れました。
さすが一番高い「磨きその先へ」を使ったショコラです、1粒あたりの値段を換算すると500円くらいしますね。
毎年、若干の変更がある限定商品ですので、残念ながらもう味わうことはできません。
バレンタイン時期は要チェックですね。
獺祭では、通年購入できる獺祭チョコレートも販売されています。
NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」にも登場歴のある高級ショコラティエ「パレ ド オール」とのコラボ商品です。
その先へではなく、二割三分を使用した「獺祭ショコラ」ですね。
こちらは実際に食べたことがあります。
口に入れると獺祭がふわっと溶けていく感じで、めちゃくちゃ美味しいんですよ!
まとめ
獺祭の中でもいちばんいいやつとされる「獺祭 磨きその先へ」についてまとめます。
ポイント
- 二割三分の先を目指した日本酒
- 国賓や世界の富裕層も納得の日本型高級酒
- 精米歩合や製法は非公開
- 日本酒とは思えない味わい
- さまざまなコラボで話題
価格は高いですが、特別な日にセレブ気分で一度は試してみたいですね。