美味しいと評判の日本酒・獺祭。
普段使うことのない漢字なので、読み方や意味が気になりますよね。
「獺祭」は造語ではなく、昔からある言葉なんですよ。
俳句では季語にもなっています。
獺祭の意味と、旭酒造がなぜお酒の名前に採用したのかをまとめてみました。
由来の秘密は、「地名」と「正岡子規」にありますよ!
獺祭の意味と読み方
「獺祭」って、すごく難しい漢字で「一体なんて読むの?」って思いますよね。
読み方は、「だっさい」です。
獺の字は、カワウソとも読めるんですよ。
獺祭って、一体どんな意味があるのでしょうか。
魚を川岸に並べる様子
川に生息するカワウソは、肉食なので魚などを捕獲して食べます。
しかし、捕獲した魚を食べずに、川岸に並べるという行為をすることがあるのです。
この様子が、まるで先祖にお供えをしているようであることから、「獺祭」・「獺祭魚」という言葉が生まれました。
たくさんの書物を並べる様子
唐の政治家・詩人である李商隠は「獺祭魚・獺祭」という号を持っていました。
詩を作るさいに、多くの書物や資料を並べている自分の様子を比喩したものです。
このことから、「たくさんの書物を並べ、引用している人」の様子を獺祭と表現するようになりました。
獺祭の名前の由来は2つ
旭酒造は、なぜ「獺祭」と命名したのでしょうか。
次の2つの意味が込められているんですよ。
ポイント
- 旭酒造の地名から取れらている
- 正岡子規にちなんだ
順番に解説していきます!
1.旭酒造の地名から取られている
獺祭を製造している旭酒造の本蔵がある場所は、山口県岩国市周東町獺越です。
獺越は「おそごえ」と読み、獺(かわうそ)の字が入っていますね。
このことから、地名から1字をとって獺祭という名前が採用されました。
獺越という地名の由来は、「地下上申」という、江戸時代に作成された書物に記載があります。
『地下上申』は防長両国諸郡の萩本藩領はもとより、各支藩領もこめて、各村落から萩藩府の絵図方頭人・井上武兵衛宛に上申した村勢概要、いわゆる村明細書である。
引用:防長地下上申解説
この地下上申に、『川上村に古い獺がいて、子供を化かして当村まで追越してきた』という獺越の由来があるのです。
ちなみに川上村は、現在は萩市に合併されています。
獺祭は、山口県出身である安倍総理が、オバマ元大統領が来日したさいにプレゼントしたお酒としても有名。
また、同じく山口県出身であるロンドンブーツ1号2号の田村淳さんも、獺祭ファンであることを公言しています。
所在地の字を入れて、地元に根ざしたお酒を目指したことが、こういったエピソードにつながっているんですね。
2.正岡子規にちなんだ
旭酒造のキャッチフレーズは「酒造りは夢創り、拓こう日本酒新時代」です。
これは日本文学界に革命を起こした正岡子規にならい、日本酒にも変革・革新を起こすという思いが込められているのです。
正岡子規は、明治時代に低迷していた俳句界に大きく貢献したことで知られています。
その功績は、3つ挙げられます。
1・俳諧から発句を独立させて、俳句という呼び名を与えたこと。
2・江戸時代以来の陳腐な俳句を、月並み俳句と呼んで否定し、写生による現実密着型の俳句を確立させたこと。
3・松尾芭蕉の神格化の否定と、与謝蕪村の再評価。引用:日本俳句研究会
「俳句」という呼び名を作ったというのですから、すごいですよね。
正岡子規が詠んだ俳句では、「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」がとても有名です。
「子規」というのは俳号で、別号では「獺祭書屋主人」と名乗っていました。
晩年、結核のために病床で寝たきりになりながらも、後進の指導を行っていた子規。
枕元に書物を広げているさまが、まさに「獺祭」だと感じたのでしょう。
旭酒造の「獺祭」の2つ目の由来は、こんなエピソードを持った正岡子規がルーツなんですね。
まとめ
獺祭の名前の由来、とても素敵ですね。
名前に込められた思いが、どちらも実現できているように感じます。
名前の意味が分かると、お酒の味もより奥深いものになりますね♪